魔の2歳児に突入!イライラ、泣き止まない…しつけはどうしたら?
保育士・育児アドバイザーが教える「2歳児」のイヤイヤの原因
いよいよ我が子も、2歳の反抗期入り?!
子育て支援の現場では毎日のように「2歳の反抗期」について、お母さん方から相談が入ります。
「いや!」と、強く自己主張をする小さな子どもたち。 それまでの、可愛いしぐさや全面的にお母さんが頼りきられていた生活が一変してしまう日々が始まります。
そうなのです。 「2歳の反抗期」とは、 子どもたちがそれまで生活の全てを依存していた生活から、自分で「やってみたい」という欲求が自然と生まれて、それを主張する時代に入る頃のこと。
お母さん方は、皆さん気構えて事前に「イヤイヤ期」の異名を持つ2歳の反抗期について学習してはいるものの、いざ我が子のそれが始まってしまうと、もう、てんてこ舞い、ですね。
「2歳の反抗期」そのものを消し去ることはできませんし、いくら私のような子育てアドバイザーがいたとしても、「イヤイヤ」言う子どもが急におとなしくなる魔法の言葉も薬もありません。
ではどうすれば?
自分達も含めて人の成長や発達のメカニズムを少しでも知っておくと、お母さんご自身の湧き出るイライラとした感情にも諦めがつくと思います。
はじめにーとても未熟に生まれてくる人の赤ちゃん
我々人間は、哺乳類の中でも未熟な状態で生まれてくるのをご存知ですか?
動物には、「離巣性」と「就巣性」という性質があります。 「離巣性」とは、長い妊娠期間を経ることで出生の際には脳が発達した状態で生まれるため、生まれてまもなく自分の足で立ち上がることの出来る動物のこと。
「就巣性」は、妊娠期間が短いために未熟な状態で生まれ、親の手助けがなければ生きていけない動物のことを言います。
人間は「離巣性」に属するのですが、比較的妊娠期間が長いにもかかわらず「未熟」な状態で生まれてくるという、少し特殊な特徴を持っています。
これは、人間の脳がとても発達していることが影響しているそうです。
脳の発達に伴い頭は大きくなっていくのですが、人間の脳が発達するまでお腹のなかで育ててしまうと、産道から出てくることができなくなってしまうのです。(二足歩行になったことによって産道が狭まったことも影響)
そのため、本来は2年ほどかけてお腹のなかで育てるべきところを約10ヶ月で出産しています(生理的早産)。
「離巣性」でありながら「就巣性」のように未熟な状態で生まれてくるはこのため。
そして、その未熟さには必ず保護者との愛着関係がその先の成長発達に必要不可欠なのです。
ですから、イヤイヤを繰り返す2歳の反抗期にも変わらない愛情表現で接してあげてくださいね。
→こちらの記事で、愛着関係について詳しく解説しています脳科学の視点から〜イヤイヤは脳のせい?!〜
人の脳は生きていくのに必要最低限の機能からスタートして、徐々に高度な機能を担っていく分野が成長発達していくのですが、この成長行程は、生きていくために必要最低限の機能から、情感や本能的な衝動、記憶に関わったり、また「やる気」を起こす機能へ広がりを見せ、考える脳へと繋がっていきます。
ザックリ言うと「生きていくために大切な脳」から機能し、「感情を豊かにしていく脳」が育っていき、「思考を司る脳」が育っていくということ。
脳は、生涯を通して「0歳~3歳まで」に爆発的に発達し、その後22歳頃まで成長を続けるのだそうです。
文字通りに爆発的な成長発達が小さな2歳の我が子の中で行われているのだと、想像してみてください。その影響もあって情緒的にイライラしたりして、「いや!」と言ったり、ぐずったりするのだ、と思えば仕方ありませんね。
また、2歳のイヤイヤ期が起こるもう一つの要因としては、「脳の発達の未熟」が関係しています。
脳の前頭前野という部分には、「欲求を抑制する働き」があるのですが、2歳児にはまだこの前頭前野が発達しきっていません。
そのため、自分の欲求を抑制したりすることができず「イヤイヤ」に繋がっているのです。
「欲求を抑制する働き」は3歳に向けて徐々に発達していくため、この時期がくるまでは「今、脳が一生懸命成長している途中なんだな」と割り切っていくと良いでしょう。
大人のマインドチェンジが乗り切るカギ
イヤイヤしているのは、誰のせいでもなく子ども本人の成長の証しです。
特にお母さんからすれば、赤ちゃんらしさが少しずつ抜けて、幼児期に向かっていく我が子に寂しさを感じないでもないでしょうし、いつまでも自分を全面的に頼って甘えてくる姿が見たくて、出来ることをさせないで甘やかしたくなってしまうこともあるかもしれません。
お母さんの思い通りに事が進まない場面が増えてきたら「2歳の反抗期学校の入学時期」と自覚して、お母さん自身の気持ちの切り替えもしていきましょう。
一人で頑張りすぎないで
この時期になると、自分の好みもはっきりとしてきますが、気分屋で落ち着かないし、直ぐに周りの子どもとトラブルになってしまい、お母さんとしてはその仲立ちが辛くて、外出を避けてしまいがちになります。
自分=お母さんのしつけがなっていないようで周囲の視線が不安の種。ですが、我が子が他のお友達とトラブルを起こすのは、好奇心の現れですし、実は貴重な社会性を伸ばす良いチャンス。覚悟を決めて遊びに出かける方が賢明です。
私がお勧めするのは上手に仲立ちの見本を見せてくださるスタッフのいる児童館や、子育て広場などです。
そこで自由に親子で遊んで我が子の成長とともに見せる変化を捉えて、他の子どもとのトラブルには積極的に向き合えるようにご自身も努力する。よそのお子さんやその親御さんと「2歳の反抗期」について共感し、スタッフからのアドバイスを共有して「2歳の反抗期学校」の学校生活を味わってください。
トラブル回避ばかりを続けていると、お母さんからの自立を遂げらないまま大きくなってしまいます。お子さんの発達段階に即した成長の姿を見届けていきましょう。
こんな時どうする?
よくあるのが、子ども本人に選択を任せて決めたことを、いざ、行動に出ると「いやーっ」と言って突然大泣きする事。
お母さんにしてみれば「わけわかんない」し、全身全霊で大の字になってすべてを投げ出して大泣きする我が子に、周りの手前、優しく対応しようとするものの、すればするほど厄介にも泣きやまない。
となれば、全てを投げ出して、この場から消え去りたい、と本気で思うのも当然です。
こんな時はお母さんのマインドチェンジの1つでもあるのですが、本人に選ばせたことへの責任追及はしない事。まだ、責任の取れる「大人」ではないのですから。
「あなたが〇〇公園に行きたいって言うから連れて来たのでしょう」とか 「どっちにするの?」 「泣くなら、帰るよ」などの脅し文句も言うだけ自分の腹が立ってくるのでやめましょう。
思い出してください。この時こそ、わが子の脳は成長するために頑張っているのだ、と。
駄々をこねている時はご機嫌取りみたいなことはせずに、気分転換のタイミングを見計らってさっさと次の行動に出ちゃいましょう。
健やかな発達段階の為にできる事
さらに、お伝えしたいことは、「生活リズム」が整っているかどうか? 脳の健全な成長には「成長ホルモン」が欠かせません。これには、早寝・早起きの生活が必須。宵っ張りの生活は脳の健全な成長の妨げになります。
2歳の反抗期のイライラに重ねて、生活リズムの乱れからくる情緒の不安定さが余計に親子を苦しめることになります。
そして、親子の「愛着関係」が最も大切であることを忘れてはいけませんよ。→こちらの記事で、愛着関係について詳しく解説しています
子育てに卒業はないのかもしれません
赤ちゃんが自分のところにやってきて、成長をしていく姿を見るのは何にも代えがたい喜びです。その中に「2歳の反抗期」も含まれています。
この後にも様々な出来事がお子さんの成長とともに振りかかると思いますが、少しずつお母さんの手から離れて自分力をつけていく我が子の成長する姿を見届けていってくださいね。
保育士・子育てアドバイザー/佐久間みかプロフィール
保育士として30年以上のキャリアをもつ。「子育てに向き合う方の小さな悩みを一緒に解決したい」との思いから、子育てアドバイザーとして活動。親子遊びの提供や、育児相談を受けている。現在は、公設の子ども家庭支援センターに勤務。育児講座やお茶会を開くなど地域に密着した活動を行っている。
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※本コーナーは医師、管理栄養士、保育士など各分野の専門家に監修をいただいております。ただし、幼児期の発達・発育状態、心理状態には個人差がございますので、全てのお子様への該当を保証するものではございません。
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