「富士さんうたごよみ」
書籍情報
グラフィックデザイナーと歌人の出会いからうまれた「富士山うたごよみ」
作:俵 万智
単行本:48ページ
出版社:福音館書店
発売日:2012/12/19
商品の寸法:29.8 x 21.6 x 1 cm
あらすじ
絵本と歌集と歳時記本がひとつに!美しい富士と歌で楽しむ日本の四季。
『サラダ記念日』などで知られる歌人、俵万智さんと、グラフィックデザイナー、U.G.サトーさんのコラボレーション作品。
富士山をモチーフにした U.G.サトーさんの斬新な絵と、万智さん自らが初めて子ども向けに選んだという短歌と文からなる画期的な絵本です。
「うたごよみ」とあるように、古来、 中国から伝わった暦「二十四節気」の順に、「立春」から「大寒」まで、折々の日本の四季を感じながら24の歌と絵に出会える構成になっています。
絵本とし て、歌集として、歳時記本としても楽しめる贅沢な一冊。
著者略歴(「BOOK著者紹介情報」より)
俵 万智(たわら まち)
歌人、1962年大阪府生まれ。
早稲田大学在学中より、歌人佐佐木幸綱氏の影響を受けて短歌を始める。1986年、作品「八月の朝」で第32回角川短歌賞受賞。1987年、第一歌集『サラダ記念日』(河出書房新社)を出版、260万部を越えるベストセラーになる。
本書の文は、U・G・サトー氏の富士山の絵をみて、はじめて書き下ろした児童書である。
U・G・サトー(ユージー・サトー)
グラフィックデザイナー、1935年東京都生まれ。
東京学芸大学中退、桑沢デザイン研究所卒業。著書に『U.G.サトーの進化論世界』(思索社)、『世界のグラフィックデザイン36 U.G.サトー』(ggg books)。絵本に『あか あお ふたりで』『2本足と4本足』『にたものどうし』『あめかな! 』『しまうまのさんぽ』(いずれも福音館書店)など多数。
オススメポイント
二十四節気毎に、何度も読み返したい一冊。是非親子で読み聞かせを。
鮮やかな青空を背景に、まるでステンドグラスのような模様をまとった富士山。
その美しい表紙に、思わず手にとってしまった『富士山うたごよみ』。
ページをめくるたび、様々な形にカモフラージュした富士山を楽しむことができます。
それは富士山の形をした虫取り網だったり、富士山のように見えるボックスティッシュであったりとかなりユニーク!
一見すると富士山がどこにあるのかわからない絵もあり、子どもたちにとっては「かくれ富士山」を探す楽しみも!
立春から大寒まで、二十四節気を絵と短歌で紹介していくという形はとても新鮮で面白く感じられます。
しかし一方で旧暦も短歌も、小さな子どもたちにはまだ少し難しい内容では?という思いも正直ありました。
大人の私ですら、「春分」「夏至」「秋分」「冬至」など、普段カレンダーで見慣れているはずの言葉でも、知識はかなり怪しいレベルですしね。
でも絵本を読み進めるうちに、その心配は必要ないことに気づきました。
むしろ小さな子どもたちにこそ読んで聞かせてあげたい!そんな気持ちがわきあがってきました。
<春分>
◆春一番の思いよ届け 青空はあなたに続く色の階段
◇遠く離れている人のことを思うときは、空を見上げてみよう。
キミの頭の上の空は、その人の頭の上の空とつながっているんだよ。
いま吹いた風、明日はだれのところに遊びにいくんだろうね。
<大寒>
◆「寒いね」と話しかければ 「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
◇そばにだれかがいるって、うれしいね。
キミの言葉をキャッチしてもらうっていうことは、キミの心をキャッチしてもらうっていうことなんだよ。
歌の解説文というよりも、万智さんが息子さんに語りかけるような口調で書かれた文章がとても印象的。
「春分」や「大寒」についても分かり易い説明が短くまとめられていますし、これなら小さなお子さんにも無理なく読み聞かせができると思います。
二十四節気の順に万智さんの歌を読むだけで、こんなにも季節の移り変わりを感じとることができるんだと、もう、ただただ感動です。
五七五七七のたった31文字の中に、どんな高性能のカメラでもビデオでも残すことのできない、目に見えないものを含ませることができる。
流れる時間、感じた温度、人の心の動きまで。
改めて短歌って、言葉って凄いなと思いました。
1ページ毎に自然を感じとり、不思議な富士山の絵を眺め、不思議なリズムの歌を聴き、そして、自分に語りかけるママの言葉に耳を傾けながら、感性豊かな子どもたちは様々な反応を示すことでしょう。
四季折々に、あんな時もあったね、こんなこともあったね、と親子でどんどん会話を膨らませながら読んで欲しい一冊です。
- この記事の先輩ママ:彩子ママ
- プロフィール:
- 絵本や小説、漫画好きな、中学生と小学生の二人の娘の母です。 子どもに読み聞かせたり、ママ仲間からオススメされたりしながら、沢山の本に出会いました。姉妹は既に読みたい本を自分で選べるようになり、今は母子で「オススメ本」の情報交換をしています。
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