白石康次郎プロフィール
1967年 東京生まれ、鎌倉育ち 横浜国立大学教育学部附属鎌倉小・中学校卒業後、船乗りを目指し、神奈川県立三崎高等学校専攻科へ。高校卒業後、単独世界一周レース優勝者の多田雄幸氏に弟子入り。多田氏のもとで、ヨットの建造を学びながら、レースのサポートを続けた。 1993年 世界最年少単独無寄港世界一周を達成 1995年 走行距離500km以上を人力のみで走破するアドベンチャーレース「エコ・チャレンジ」に出場 2003年 「アラウンド・アローン」クラスⅡで4位 2004年10月に行われる「5-OCEANS」に出場予定 その後は、水泳の指導について学ぶためにアメリカへ留学。帰国後は水泳の指導などに励むかたわら、TV等でコメンテーターとしても活躍。日本オリンピック委員会 環境アンバサダー、日本水泳連盟競泳委員会委員
夢を条件であきらめない
- のっぽくん
- 進学校でもあった中学校から、船乗りになりたいと、まったく方向の違う三崎水産高校に進学された。それもお父さんには入学後に伝えたそうですね。いくら選択権が子供にあるとはいえ・・・。
- 白石さん
- 「言いませんよ。父は、僕が高校に入った後に調べたようです。“あーこういう科もあるんだな”と話してましたから。とにかく小さいときから、何があっても自分で決めなさいと言われていましたから、その通りにしただけです。
高校を選ぶ際も、海に携わる仕事、船で世界一周できればと思っていたから普通の勉強をしてもしょうがないなと。まあ、文部省の方針と合わなかったのか、ほとんど勉強はしていませんでしたから(笑)。ただ中学校でも、創立以来、水産高校に行く生徒は僕だけだったらしいですよ。」 - のっぽくん
- 自分で決めるということは、その行動に責任感を持つことだと思います。お父さんは放任主義だったのですか?
- 白石さん
- 「どこかで父親が見ているという安心感はあったかもしれません。中学校のときに、仲のいい友達と遊んでいて、友達が階段から落ちて骨を折ってしまったことがありました。先生に呼び出されて“お前が悪い。親に電話するから”と、いわれて覚悟を決めていたんですよ。しょうがないなと。
会社から真っ直ぐ学校に飛んできた父は“お前は家がわかるか?”と。それで父親と一緒にケガした友達の家に行きました。
そのとき父親は何も怒らず“こういうときは誠意をもって謝りなさい”と言っただけ。そして友達の親に頭を下げているのを見たときに“あー申し訳ないことしたな”と思いましたね。
それとともに自分で決めるということの厳しさを実感しました。」 - のっぽくん
- 三崎水産高校時代に、ヨットの魅力にとりつかれたわけですが、どのようなきっかけですか?
- 白石さん
- 「高校2年生のとき。82年です。テレビでヨットのレースを放送していたんです。その放送では『BOCチャレンジ』というたった1人で世界一周するヨットレースの小さなクラスで日本人が優勝したことを伝えていました。それを観るまでヨットのことなど、まったく知りませんでしたから驚きましたね。こんなヨットレースがあるのかと。僕が憧れていた世界一周を、エンジン付きの船ではなく、あの綺麗なヨットで、しかもたった1人で……。
その頃は、突っ張っていた頃だから“よしやってみよう。このレースに出てみよう”と思ったわけです。これで将来が決まったなと。」 - のっぽくん
- ヨットレースで世界チャンピオンになった日本人をテレビで見ただけで、いくら少年時代の夢と重なったとしても、その後の決断力と行動力はすごいですね。
- 白石さん
- 「我が家は、何もしなければ何も起きない家です。お腹が空いたと思っても何もしなければ何も変わらない。結局、台所に立つしかない。洗濯物もそう。部屋に溜まっても、自然になくなるわけじゃないです。そんな環境が影響しているのかもしれません。
今の子供たちと違うのは、条件で夢を決めないことです。これだと思ったら条件も何もない。それは人を好きになるのと一緒で、本心から思うわけですよね。そこからどうするか、なのです。人に恋すると、普段は出ないようなエネルギーが出るのと一緒でしょう。」 - のっぽくん
- そこでヨットレースで世界チャンピオンになった、後に師匠となる多田雄幸さんに会う為に、東京に1人で向かい、電話帳で連絡先を調べ上げた。やはり、そのパワーは凄い。
- 白石さん
- 「単純に多田さんに、体験談を聞いてみようと思ったわけです。とにかく、この人に直接、話を聞きたいと。よくそれを特殊なことだと言われますが、僕としては非常に真面目で素直なことでした。
たまたま多田さんは、38歳で、初めて手作りのヨットに乗り始めた人で、それまでは個人タクシーの運転手をしていた。だから、連絡先がすぐにわかったんです。」 - のっぽくん
- それもお父さんには伝えずに行動したわけですよね。
- 白石さん
- 「小さい頃、父親とどこか出かけたときに、駅で“この電車、どこに行くの?”と聞いたことがあるんです。すると父は、あそこに駅員さんがいるから、聞いておいでと。万事が万事、そうでしたから。あとから父親に聞いたのですが、そうやって、本当に聞いてきたのは、兄妹では僕だけだったようです。
そういう意味でも、師匠になる多田さんに電話したのも、風力だけで走るヨットで世界一周できるなんて、無謀だけどすごいことだ。ただ考えているだけじゃ、わからない。だったら、ヨットで世界一周した人に会ってみよう。ごく自然なことです。」 - のっぽくん
- 押しかけた高校生の白石さんとは、なんの面識もない多田さんが白石さんを弟子にした。不思議な縁。何かに導かれたとしか思えませんね。
- 白石さん
- 「馬が合ったんでしょうね。多田さんは天才タイプ。とにかくハートの大きい人で、まるで春風のごとし。もはや達人の域に達していた気がします。
当時、就職するかどうするか迷いましたが、このときも結局“ヨットで世界一周したい”という気持ちの方が強かった。だから多田さんについてヨットの修業をすることにしたのです。」
インタビュー目次
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