プロゴルファー宮里藍さんの故郷でのインタビューvol.2:スクスクのっぽくん

プロに聞く! 宮里藍プロフィール

貧しい村の危機を救った、お祖父ちゃん

2005年12月13日、午後11時30分ごろ。
東京発の最終便の飛行機が那覇空港に着いた。

宮里藍さんの故郷
( Photo by (c)Tomo.Yun )(http://www.yunphoto.net)

その飛行機には、05年のシーズンを締めくくる、男子ツアーに参戦する宮里藍が乗っている。空港のロビーには深夜にもかかわらず、多くの報道陣とファンが待ち受けていた。

「藍ちゃん、お帰り!」
到着ゲートに現れた彼女は、多くの声援とカメラのフラッシュを浴びた。アメリカツアー出場権獲得、日本女子オープン最年少優勝という“土産”を抱えた宮里藍は、出迎えた報道陣、ファンらに笑顔をみせた。

まさに凱旋だった。今回の帰郷は、女子プロとして初の男子ツアー参戦のため。その背景には、故郷・沖縄を盛り上げるため。自分を育ててくれた沖縄に、少しでも恩返しをしたい。そんな思いが、彼女の心にあったという。そんな彼女の素顔を知りたくて、生まれ育った沖縄県東村へ行ってみた。

沖縄北部の都市、名護市から車で北上すること20分。さらに天然記念物のヤンバルクイナが住む森を抜けると、太平洋が面した小さな村、東村が見えてくる。
人口2000人弱。風と波の音しか聞こえない、静かな村で、宮里藍は育った。

東村の名産品はパイナップル。昭和30年代に栽培され、現在は日本一の出荷数を誇る。
とくに甘みの強い東村のパイナップルは、この村の赤土が、それを醸し出しているといわれている。

「この東村の土壌は酸性の赤土で、農作物に適さない。パイナップルを栽培するまでは、多くの村民は炭を作って生計を立てていました。しかし、ガスの普及で炭の生産は減少。それを救ったのが、パイナップルでした」(東村役場)

赤土はパイナップルには適していた。その栽培を推し進めたのが、宮里藍の祖父たちだった。宮里藍の祖父は、東村の村議長を務めた人物。

「もともと宮里家は、この村の中心。リーダーとしてこの村を引っ張ってきた家です。とくに藍ちゃんのお祖父ちゃんは、現金収入のない貧しい村の危機を、明確な目的を持って、村政に取り組んできた人です」

不毛の赤土と戦い、実りをもたらした宮里家。
実は、この赤土が、宮里藍を育てたといってもいい。

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