古賀稔彦プロフィール
1967年 佐賀県に生まれる 1980年 東京にある講道学舎に入門 1987年 全日本選抜体重別選手権 一位(1992年までその座を守る) 1988年 ソウルオリンピック出場 1992年 バルセロナオリンピック 金メダル獲得 1996年 アトランタオリンピック 銀メダル獲得 2000年 現役引退。全日本柔道女子強化コーチに就任 2002年 「古賀塾」を開く。 現在は古賀塾塾長を勤める傍ら、全日本女子柔道強化委員、東京オリンピック基本構想懇談会委員でも活動。また、IPU環太平洋大学体育学部体育学科教授、柔道部総監督としても活躍中。
古賀さんを支えたお母さんの手作り料理
中学生になってからは東京にある講道学舎の寮で暮らすようになった古賀さんだが、ご両親のもとで暮らしていたころの食事をこんな風に表現してくれた。
「いま思えばお母さんの朝・昼・晩の手作りの料理が子供の成長期には全て合っていたんだなと感じます」
家の近所にあった神社の石段でトレーニングを終えた帰り道に、手造りの豆腐を売っている工場で豆腐を買うことがよくあった。
「トレーニングをしたあとってタンパク質が必要じゃないですか? だから、理想的な感じですよね」
食卓には豆腐のほかに魚・ご飯・みそ汁が並んでいた。また、春になればつくしを取って食べることもあったし、季節によってはセリも口にした。母親がそれらを使って調理してくれるのだ。古賀さんの舌にはその味が今でも染みついている。だから、コンビニへ行けばどんな食べ物でも簡単に買えてしまう現状を憂い、手作りの料理の必要さを改めて感じている。
「手作りの料理では、子どものころに必要なものを必然と摂れると思っています」
コンビニなどで簡単に食事を済ませられるようになったこと以外に、古賀さんが危機感を覚えていることがある。それは、食事のメニューについての昨今の風潮だ。
「今は、子供に合わせるメニューが多いじゃないですか? でも昔は、お父さんがメインじゃないですか? そうなると肉ばかりじゃなくて、魚??刺身があったり、煮魚があったり、焼き魚があったり……。お父さんがメインの食事って、自然とカルシウムがとれる食事がメインになるんじゃないでしょうか」
このようにカルシウムの摂れる食事の大切さを語ってくれた古賀さんには、さらに食事の大切さを自然と子供が学べるようなアイデアを教えてくれた。
家でお酒を飲むことの効用父親は料理を作ることが苦手で母親が料理を担当する。夫婦の役割が変わってきたとはいえ、そんな家庭は依然として多いだろう。子供が体に良い食事を摂るなかで父親が果たせる役割はあまりないのだろうか。
落胆するのは早い。古賀さんのアイデアを聞くと、すぐにでも実践できそうな気がしてくる。自身の育った佐賀県を「田舎」と評する古賀さんは語る。
「田舎って、お父さんが自分の家とか他人の家で飲むじゃないですか? そうすると自然と品数も多くなりますし、『飲んでいる』ということは食事の時間も長くなるんですよ。そうなると子供自身も簡単に済ませるんじゃなくて、食事は長いんだ、と(自然に感じるようになる)」
古賀さんは夜の9時まで古賀塾で指導をしているために、自宅で食事をしながらお酒を飲むことが多い。古賀さんのお子さんも一緒に食卓に並び、コミュニケーションをとったり、おつまみをつついたりするのだという。
また、定期的に友人を食事に招いたり、友人の家で食事をごちそうになったりすることで、思わぬ効果があると古賀さんは考えている。笑顔を浮かべて、こんな話をしてくれた。
「他人の家に行くと自分の家の食事と比較するじゃないですか? で、自分の家ではたいしたものを作っていなかったお母さんが他人の家に行って、すごいものを出されちゃうと、いざ逆のパターンになったときに、自分も何かしなきゃいけないと思って、より腕を磨くこともあると思うのでね(笑)」
ちなみに古賀さんの主宰する道場・古賀塾に通う子供たちの多くが試合の日にご両親の作ってくれたお弁当を食べていることが多いそうだ。そのことをうれしそうに古賀さんは語ってくれた。
「たとえ一回戦で負けるような子であっても、お父さん・お母さんからお爺ちゃんやお祖母ちゃんまで一緒に来て、試合に負けてもみんなでお弁当を食べられる。そうなれば、子供ながらにも、お父さんやお母さんの作ってくれたお弁当の喜びをね、自然と経験することができますから」
ここまで、スクスクとした成長に欠かせない運動と食事についての話を紹介したが、睡眠についてはどうだったのか。
インタビュー目次
おすすめインタビューBEST5
-
サッカーワールドカップ日本代表 福西崇史さん
スポーツだったら、姿勢だったり、体幹だったり。何にしても基本が大事。
-
杉山愛さんの母・杉山芙沙子さん
コミュニケーションとは、人の空気を読んだり、観察をしたり、判断したりする力が必要になってきますよね。
-
10代目体操のお兄さん・佐藤弘道さん
遊び心を忘れない大人になって欲しいです。子どもが男の子だから…
-
サッカー日本女子代表・宮間あやさん
日々サッカーを楽しめたらいいなと思ってやっています。
-
天才セッター・中田久美さん
小さい頃にバランスの取れた食生活をすることが、アスリートにとって非常に重要だと思います。