安藤師範プロフィール
1956年 愛媛県新居浜市生まれ 1974年 徳島大学にて、合気道に出会う 1978年 大学卒業後、商社に勤務 1979年 合気道養神館に内弟子として入門 1996年 独立し、養神館合気道龍を主宰 ≪NPO法人 養神館合気道龍 代表≫ ≪本部 主席師範≫ 千葉県浦安市を中心に活動。基本重視の稽古体系とわかりやすい指導に定評がある。 海外から教えを請う為に来日する外国人も多い。定期的な合気道のクラスの他に、 小学校における指導など地域主催の関連行事の講師など、幅広く合気道の普及活動中。 著書に「中心力の時代」、CD「合気道のススメ」、DVD「合気道の証」「合気道達人列伝」などをはじめ、作品多数。
合気動~和合の道~
安藤師範の師である故塩田剛三館長の言葉と、安藤師範の解説を紹介しながら、脈々と受け継がれる合気道の精神に触れてみたいと思います。
「合気道は和の武道だといわれますが、その解釈は簡単だと思うんですよ。人と相対した時に、相手の敵愾心(てきがいしん)をなくすような自分の人柄と実力をもっているということ。これがひとつの和になるんです。けっして妥協じゃない。和というものはちゃんとひとつ自分に強いもんがあって、そして相手を味方にする。協力者にしてしまう。これが『対すれば相和す』なんです。それにはよっぽど自分の徳を積まんと出来ない。結局ね、根本は自分の『中心力』なんです。」
この塩田館長の言葉を、安藤師範は次のように解釈するといいます。
「和は単に相手と仲良くするということではなく、自分自身を鍛え、自己を確立し正すことによって、自ずと生まれてくるもので、根本は自分の中心の確立にある。(合気道の技において)一見、相手の協力と見える受けも、その結果として自然に出てくるものである。そしてその考えが合気道の技そのものである。」
安藤師範は、こうした考えを「合気即中心」という言葉に表しています。
“生活する”そのことが合気道そのものである
もうひとつ、塩田館長が好きでよく言っていたという言葉を紹介します。
「行住坐臥(ぎょうじゅうざが)、一切の事勢、これ最善の道場」
安藤師範は、この言葉を次のように説明しています。
「これは、『生活する』、そのことが合気道そのものでもある。道場にいるときだけ合気道を練習するのではなく、その練習した考え方、技が生活の中に生かされなければ意味がない。どんな状況、どんなところでも練習はできる。いつも修業だと思って、一生懸命に取り組み、力を発揮することだ。」
また、塩田館長は、その精神を「合気即生活」という言葉にまとめられ、今も大切に受け継がれているとのことです。
合気道の道を諦めた経験
継続するにあたって、どのようにモチベーションを保って稽古を続けてきたのでしょうか。
「失敗してもともと、最初はできなくて当たり前なんだと思って、ひらすら一生懸命繰り返し稽古したよ。結局、合気道が好きだったんだね。」と安藤師範。
『好きこそものの上手なれ』ということですね。
「合気道をしていると、理屈ではなく、体で感じる充実感、爽快感があったんだ。」と話してくれた。
しかし、そこに辿りつく前には、合気道を一度諦めた思い、挫折があったようです。
「挫折を味わって、自分にとって本当の充実が何なのかわかったんだ。」と語ってくれました。
この挫折とは、大学時代に1ヶ月間の合気道合宿をしたときのこと。合気道の世界は厳しい、自分には合気道は無理だ。と思って、一度は、合気道の道を諦めた経験のことだそうです。
一度は諦めてしまった合気道の道を進める喜びと充実感という原点を見失うことなく、厳しい修業に負けずに、達人と言われるまでになった安藤師範の合気道に対する心の原点を見た気がしました。
機に敏であること
生活する、そのことが合気道そのものでもあるという安藤師範に、今までの修業の中から、普段の生活に簡単に活かせる良い方法について伺ってみました。
「機に敏であること。これが大事なんだ。」
安藤師範は、よく、
「電話は、なる前にとれ。」と言っていると、笑いながら教えてくれました。
「気付いたのに放っておくと良くない。機を捉え、兆しを感知していくようにすること。そして、身についた対応力を色々な状況に拡げていくことだね。」
色々な状況に素早く的確に対応できる力、是非身に付けたいです。簡単にできる具体的な訓練は何かないでしょうか。
「まず、朝パッと起きることだね。目覚ましがなったら、あと5分と言わずにパッと切り替えて起きること。これは、『機に敏になる』良い練習になる。効果大なんだ。」
朝起きるというのは日常の流れのなかで必ずあること。新たな習慣をつくることばかりに目を向けがちですが、日常の生活に気をつけるだけでも訓練になるということですね。
「機に敏であること」「周りの状況に気を配り、常に先まわりして動くようにすること。」周りの状況に気を配りながら、日常生活のひとつひとつのことに気をつけることからも技が磨かれていくのですね。
インタビュー目次
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