安藤師範プロフィール
1956年 愛媛県新居浜市生まれ 1974年 徳島大学にて、合気道に出会う 1978年 大学卒業後、商社に勤務 1979年 合気道養神館に内弟子として入門 1996年 独立し、養神館合気道龍を主宰 ≪NPO法人 養神館合気道龍 代表≫ ≪本部 主席師範≫ 千葉県浦安市を中心に活動。基本重視の稽古体系とわかりやすい指導に定評がある。 海外から教えを請う為に来日する外国人も多い。定期的な合気道のクラスの他に、 小学校における指導など地域主催の関連行事の講師など、幅広く合気道の普及活動中。 著書に「中心力の時代」、CD「合気道のススメ」、DVD「合気道の証」「合気道達人列伝」などをはじめ、作品多数。
受け入れてもらう安心感
安藤師範に、その指導法について伺うまえに、まずは師範の子ども時代のエピソードを紹介します。
「一、二歳の頃、ご飯を食べ終わると茶碗を投げて割ってしまっていたそうです。そこで父親は母親をなだめ、安い茶碗を沢山買って好きなようにやらせてやってくれと言っていたそうなんだ。」
このエピソードのように、ほとんど父親に怒られたことがないという安藤師範。
「受け入れてもらっているという安心感はあったよね。」といいます。しかし、母親から、躾としてはちゃんと怒られていたともいいます。
父親と母親でしっかり役割を分担し、叱るべきときは叱り、許すときは許し、褒めるべきときに褒める。的確な子育てが子ども時代の安藤師範に安心感を与え、スクスクと育つ源になったのかもしれません。
三つ子の魂百まで
安藤師範は、大学の将棋大会で準優勝したことがあるそうです。将棋は幼稚園の頃、プロ棋士になりたかった父親から教わっていたそうですが、その後は趣味で指す程度だったという安藤師範。ではなぜ、勝つことができたのでしょうか。
「将棋にも定石という基礎があり、それが身に付いていたことと、相手の実力と自分の実力を見極めて、相手のほうが強いなと思ったら、変わった戦法を使って相手の裏をとるということを教えてもらったんだ。小さい頃のそういった経験が残っているもんだな。」
まさに「三つ子の魂百まで」ですね。
基本の大切さ
将棋のエピソードからも伺えるように、小さいときに身に付けた基礎は、ずっと残っているもの。これは、運動や身のこなしにおいてもいえることだと思います。
「基本がくずれると合気道でも技にならない。目の前ではほんのちょっと、数㎝のズレでも延長線を引いてずっと先にいけば、何十㎝も大きくズレてしまうでしょ。ちょっとのズレが実は大きいんだ。『構え』を見れば、力量がどの程度か分かるものだよ。」
では、基本を身につけるにはどうしたらよいのでしょうか。最近では転び方を知らず、骨折をしたりする子が多いと聞きます。転び方も身体の使い方のなかで、ひとつの基本的な要素といってもよいですね。
「そうだね。顔からこけちゃう子もいるらしいね。うちの子供たちは大丈夫だけどな。まずは、受身から学ぶからね。合気道の技は護身術になるけど、受身それ自体も護身術なんだ。身につけるには、やはり経験すること。実際にやってみなくてはいけない。」
大切なのは“信頼”
三歳くらいの子どもから、お年寄り、男性、女性、日本人、外国人と幅広く様々な人に合気道を指導してきた安藤師範。師範は人間関係について、大切なことはどんなことだとお考えですか。
「『信頼』が一番大切だね。」と一言。
では、安藤師範が考える『信頼』とは?
「信頼が成り立つには、嘘をついてはいけない。他人に対して嘘をつかないのは、当然だけど、自分に対しても同じことなんだ。自分で決めたことをしっかりやる。出来た時には、しっかり自分を褒める。これが、大切なんだな。褒められたら気持ちいいでしょ。人に褒めてもらえなければ、自分で自分を褒めてやればいいんだ。」
明るくいるように導くこと
指導する場合には、指導者が相手を上手に『褒める』ということも大切ということですね。
「そういうことだね。それは明るくいるように導いてあることなんだ。また、楽しいという気持を引き出してあげるんだな。明るくいること、心が輝いていることが、発展していくのに大切なことだからね。それともうひとつ。明るくなるには『感謝』をすること。感謝をすると、人はいつからでも明るくなってくる。最初は暗くてもいいんだよ。」
そういう安藤師範の言葉を聞いているだけでも、なんだか心が明るくなってきたような気がしました。
インタビュー目次
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