福西崇史プロフィール
1976年9月1日 愛媛県出身。181cm、77kg。 高校時代はFW(フォワード)だったが、卒業後に入団したジュビロ磐田でMF(ミッドフィルダー)にコンバートされた。当時ブラジル代表で活躍していたドゥンガに鍛えられ、ボランチ(守備的ミッドフィルダー)として急成長。2006年ドイツW杯のアジア予選突破に貢献し、本大会でも2試合に先発した。小学生まで体操をやっていたのは有名な話。
「プロで成功した一番の理由」
- のっぽくん
- 高校卒業後、福西さんはジュビロ磐田に入団しました。当時、ジュビロには、ブラジル代表のドゥンガ選手や日本代表の名波浩選手など、Jリーグの中でずば抜けた選手がそろっていました。カルチャーショックはありましたか?
- 福西さん
「カルチャーショックしかなかったですね。自分の力が、何も通用しなかったので。そもそもトップ(1軍)の練習に参加できなかったんですよ。僕は2軍からのスタートで、1軍とは練習場の場所も時間も違った。このときは将来自分が日本代表に入るなんて、想像もしてなかったですね」
現役時代を語る福西さんと、話を聞く頼トレーナー。
- のっぽくん
- しかし、そういう選手と競い合い、入団2年目にはレギュラーになりましたね。何がきっかけだったんですか?
- 福西さん
「突然サッカーがうまくなることはないので、少しずつ、まずサテライトで体を作りました。筋トレをメインにして、基本練習をきちんとしたんです。そして大きかったのが、入団から半年が経った夏に、FWからボランチ(守備的MF)にコンバートされたこと。これが、きっかけになった」
- のっぽくん
- 攻撃的なFWから守備的なボランチにポジションが変わるのは嫌ではなかったのですか?
- 福西さん
「FWでは試合にも出られなかったし、このままじゃマズイなと思っていましたから。言われたときは、ハイと即答しました。でも、何をすればいいんだろう? というのが、最初の感想でした。今まで地方にいて、ある程度チヤホヤされて、守備をせずに攻撃ばっかりやっていましたから」
- のっぽくん
- コーチから何かアドバイスはあったのですか?
- 福西さん
「オマエはまわりを見るのが得意だから、コンバートしたと言われました。視野が広いと。どう動いていいかわからなかったので、まず練習でドゥンガや名波さんのプレーを観察したんです。ポジショニングって、教えられるものじゃないんですよ。見て学び、見て盗むもの。でも、練習のレベルが高くて、試合以上にしんどかった。自分が足手まといみたいで、とにかく恥ずかしかったです」
- のっぽくん
- そこでどう自分を奮い立たせたのでしょうか?
- 福西さん
「悔しさだけですよね。みんなから『オマエ、何やってるの?』と厳しい目で見られて、悔しい思いをして。そこで頑張れるかで、差が出ると思います」
- のっぽくん
- ドゥンガからも怒られましたか?
- 福西さん
「怒られましたよ。最初は自分が本当にいいプレーをできなかったから。基本的にポルトガル語で怒鳴られて、ときどき英語と日本語が混ざるんですよ。」
- のっぽくん
- ドゥンガから何を一番学びましたか?
- 福西さん
「ポジショニングかな。あれだけ動かない選手が、試合の大事な場面で、なぜ存在感を発揮できるのか。それを学びました」
- のっぽくん
- ボランチは非常に運動量が必要なポジションだと言われています。動かないでもできるのですか?
- 福西さん
「できますね。コツは動く質ですよね。最近のサッカー界では、『走れ、走れ』といわれますけれど、一歩、二歩のポジショニングで変えられるものがある。長い距離を走ってボールを取りに行くよりも、ボールの動きを予測して動けばいい。そのためには、いろんな情報を頭に入れなければだめです。敵の位置、味方の位置、ボールの動かし方、動かされ方。いろんな情報をもとに『あそこだな』と予想して動くんです」
- のっぽくん
- それを以前は意識していなかったのに、急に目覚めたんですか?
- 福西さん
「目覚めたというか、おもしろくなってきたんですよ。僕はめんどくさがり屋なんで、悪く言えば、どこでさぼれるか、良く言えば、どこまで先を読めるか。もともと運動量がなかったので、それをどう補うかをずっと考えていました。10メートル走らなくても、5メートルで済むようにポジショニングを取ればいい。そうしたら、みんなより走る量が半分で済むじゃないですか」
- のっぽくん
- こんなに色々と考えてやっているとは知らなかったです。
- 福西さん
「よくドゥンガも言っていたんですけど、頭は常に動かせと。足は止めても、頭は動かせ、と」
インタビュー目次
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