立川談春プロフィール
1967年6月27日、東京都で生まれる。中学時代は競艇選手を夢見るものの、選手の応募条件を超える身長に達してしまい断念。高校時代に落語をはじめ、17歳で高校を中退、立川談志に入門する。新聞配達をしながらの過酷な前座生活を経て、1988年に二つ目、1997年に真打へ昇進。現在は「最もチケットがとれにくい落語家」と呼ばれている。2008年には扶桑社よりエッセイ「赤めだか」を刊行。同書がベストセラーとなり、08年の講談社エッセイ賞を受賞したことは記憶に新しい。
落語の与太郎
- 立川さん
- 「何か問題が起こったとき、「私はこんなに愛しているのにどうしてわかってくれないの」って親が子供に言ったとする。子供も同じことを言ってるだろうね。「こんなに苦しんでるのにどうしてわかってくれないの?」ってさ。
それにはやっぱり会話だよね。
落語には与太郎ってのが出てくるんだけど。
与太郎っていう話を知らなくても、与太郎っていう固有名詞は知ってるでしょ?だいたい皆、イメージ沸くと思うんだけどさ。
その話の中で、皆で与太郎を「しょうがないなぁ」っ言うんだけど、一ミリも矯正しようとしないの。「しょうがないよ、あいつは与太郎なんだから」って言っておしまい。
親世代が、子供に何かを発信しようとしても、子供に拒否されることもあるでしょ。無関心を装われることすらあるかもしれないけど、それでも落語の世界では、親はめげずに喋りかける。
それでいながら「あなたに正しくなってほしいの」って、そういう言い方はしないでさ、与太郎っていう非生産的な人を治して、生産的な人にして社会的に更正させようなんてことはせずに話しかける。「相変わらず馬鹿かい?」とかね。
子供に話しかけて答えてもらえないと、今は親の方が傷ついちゃって、だんだん引いちゃうんだろうね。昔は追っかけてって耳持ってしゃべったんだから。
「聞こえねえのかーッ!」って(笑)
話さないと人間は何もわかりあえないってことが落語を聞いてればわかると思うんだ。話し合えないと分かり合えない。だけど、話し合っても根本的には分かり合えない。人同士は分かり合えないとも思うんだけど…でもそうだね、頭で考えすぎないでさ、なんか近所の人を、少しも知らないと不安じゃん!ってそれも違う?(笑)
まあ、子供と話すときに親が構えることなんて無いってことだよ。
子供の疑問には親が全部答えられなくちゃいけなくて、親は常に子供が生きていくうえでの指針にならなくちゃどうも困るなんて、そんなの親子関係じゃなくて師弟関係みたいじゃないか。
子供と話すときに親の肩に力が入ってどうすんだよ。いいんだよ、普通の話で。親が子供にしてやれるのは愛してやることだけだろうし、愛してるんだったら、やっぱり会話ってのは絶対必要だから。
会話の仕方がわからないってのは末期症状だけど、万が一わからなかったら落語を聞きにおいでよ。会話をするって全然難しいことじゃないからさ(笑)」
インタビュー目次
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