明橋大二プロフィール
1959年大阪府生まれ。京都大学医学部を卒業後、公立病院への勤務を経て、現在真生会富山病院心療内科部長。専門は精神病理学、児童思春期精神医療。また小学校スクールカウンセラーや児童相談所嘱託医としても活躍。NPO法人「子どもの権利支援センターぱれっと」での診療のかたわら、年100回以上の講演活動と執筆活動も行なう。
自立の課程で感じる不安を解消できる「甘え」が必要
- のっぽくん
- 先ほどの「大人になってから出てくるような症状を持っている子」ということですね。
- 明橋さん
「子どもの心というのは、甘えと反抗を繰り返して大きくなっていくと言われています。まず赤ちゃんとして生まれたとき、子どもは完全に親に依存した状態で生まれてきますよね。そこで子どもがもらうのは「安心感」です。一方、十分甘えて安心感が得られるようになると、今度はその安心感を飛び越えて「自立」の世界に向かうようになる。しかし、自由な世界を満喫すると、今度は「不安」を覚えるようになるんですね。すると、子どもは元の場所に戻ってきて、安心感を得ようとするんです。子育てをする上で、このような心の揺れ動きを読み取ることは、親御さんにとって子どもへの大切なアプローチになるのではないか、と思います。」
撮影:山本哲志
- のっぽくん
- このような心の揺れ動きに寄り添うことが、自己肯定感を育むことになる、と。
- 明橋さん
- 「特に甘えさせるのは、重要だと思いますね。「甘え」は「相手の愛情を求める」こと。そのような甘えが満たされると、自分を「愛される価値のある人間」だと実感できるんです。しかし、甘えが満たされないと、自分を無価値な人間だと感じるようになるだけでなく、周囲に対する不信感や怒りを募らせるようになってしまいます。ただ、「甘えさせる」のと「甘やかす」のは大きく違うので、その部分は注意が必要。ケースバイケースなのですが、大人の都合で子どもを支配して、過干渉や過保護に物事を行ってしまうのは「甘やかす」行為になるでしょう。それでは、子どもの自立心にふたを閉めるようなものなので、あくまでも子どものペースを尊重して物事を行う「甘えさせる」行為を大事にすることが必要なんです。」
インタビュー目次
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