思春期に貧血・立ちくらみ・鼻血がおきやすいのはなぜ?
思春期の貧血・たちくらみの原因
思春期に貧血や立ちくらみを起こすお子さんはたくさん見られ、中には鼻血を伴う子もいます。
そういったときに重大な病気なのではないかと思ってしまいがちですが、これらの症状は思春期の子供たちにとって、ごくごく当たり前のことなのでご安心ください。
理由は単純で、思春期には体が急激に成長し、慢性的に鉄分など栄養分が不足しがちになることに起因します。それに加えて、女の子には月経が始まることでさらに血液が不足気味になるので、頻繁に貧血や立ちくらみが見られるのです。
診断方法は?
立ちくらみ、めまい、倦怠感など、分かりやすい症状が出ますが、貧血に似た症状がでる重病があります。
万一のことがありますので必ずお医者さんに診断してもらうようにしましょう。
対策は?どんな食べ物を食べたらいい?
成長期なので、必ず朝昼晩三食を摂れるように努力しましょう。
血液を増やすためにはまず、鉄分と思われがちですが、それだけでは不十分です。血液を作るためには、その元になるたんぱく質や、その他の栄養素が必須です。
たんぱく質を摂るには大豆製品、お肉、乳製品など。鉄分を摂るにはほうれん草や牡蠣、レバーやひじきなどが代表です。
できるだけ多くの様々な食材を組み合わせて、栄養素が偏らないように心がけましょう。
スポーツ貧血にも注意
スポーツ貧血という言葉をご存知でしょうか。このスポーツ貧血とは、栄養不足などによって血液が足りなくなる普通の貧血と違った理由で起こります。
具体的には、激しい運動や衝撃によって血液の成分が破壊されてしまうことによって起こります。
足の裏には繊細な毛細血管が張りめぐらされていて、そこを絶えず血液が流れます。走ったり、ジャンプしたりという強い衝撃が加わると、足の裏の毛細血管の中にも強い衝撃が伝わり、その度に血液の成分が壊れてしまうのです。陸上部やバレーボール部などに多く見られる傾向があります。
これは病気ではなく、育ち盛りの子供たちによく起こりやすいもので、ごく普通の症状です。原因の運動をしばらく休めば回復します。
スポーツ貧血を起こしたときは、部活を休むなんて残念だと思わずに、しっかりと休止して休養を取ってください。体が万全の状態でトレーニングしたほうが、良い結果が出るでしょう。
思春期は鼻血も起きやすい?
思春期には鼻血が出やすくなるのはご存知でしょうか。実は鼻血は貧血と深く関係しています。
貧血になると体の隅々に酸素が運ばれにくくなります。その結果毛細血管がもろくなり、簡単に壊れやすくなるのです。
特に鼻の中には皮膚の浅いところに毛細血管が張り巡らされている敏感なところがあり、そこから出血すると鼻血になります。鼻血も貧血のバロメーターになるのですね。
医師、医学アドバイザー 橋本佳子プロフィール
久留米大学医学部卒業、内分泌代謝内科学講座入局。幼少期に母親がI型糖尿病を発症。父親とともに長年に渡る闘病生活を支え続けた経験から、心と体の繋がりについて深く学び、医学的な治療方法だけでなく、心との向き合い方について幅広い視点からアドバイスを行っている。 【経歴】:医療法人水聖会メディカルスキャニング浜松町にて院長を務めたのち、東京医科大学病院にて糖尿病内科医として勤務。現在は、ピュアライフメディカルクリニックにて治療に携わっている。