「成長期に伸びる仕組み」を中心に、「成長と栄養」の関係、「成長と睡眠の関係」などなど、
スクスクのっぽくんに寄せられるご質問を紹介します。
「身長」と「愛情遮断症候群」
「愛情遮断症候群(あいじょうしゃだんしょうこうぐん)」について教えてください。
- 監修:医師(内科医) 成田亜希子 先生
近年「愛情遮断症候群(あいじょうしゃだんしょうこうぐん)」と呼ばれる子ども達が増え、社会的な問題となっています。
お子様がお母さまを中心とする「保護者からの愛情」を十分に感じられずに育ってしまい、「ストレス」、「精神不安」、そしてその結果として「身長や体重などの、身体的な発達」が遅れてしまう「愛情遮断症候群」と呼ばれる患者様が増えているのです。
身長の伸びと「愛情」には大きな関係があり、虐待など心理的な問題で「低身長」になってしまうことがあります。
患者様の中には「極端に身長の伸びが悪い」ことから、「虐待」が発見されるケースもありますが、このような場合は、一時親と引き離して、施設で保護が必要なケースもあります。
患者様によりそれぞれではありますが、保護されているときに「急に心身の成長がはじまる」ケースなど、心理的な環境変化によって、顕著な成長反応を示す場合も良くあります。
お子様の身長の伸びなどの身体的な成長は脳下垂体から分泌される成長ホルモンが司っています。この成長ホルモンは、睡眠中に分泌され、特に夜10時から2時頃に睡眠が最も深くなる時間帯に多く分泌されます。「寝る子は育つ」ということわざがありますが、先人の経験的知恵は素晴らしいもので、正常な成長のためには良質な睡眠が必要となるのです。
また、ストレスを多く感じると分泌が促されるステロイドホルモンは、成長ホルモンの分泌を抑制することが知られており、ストレスもお子様の成長に悪影響を及ぼすことがあります。
お子様が「心から安らいで生活できる環境」、そして「心からぐっすりと眠ることができる環境」かどうかをぜひ一度思い返してみましょう。
成長にとって理想的な環境のためには「愛情」が不可欠で、できるだけ親御さんが愛情をかけストレスのない「にこやかに生活できる環境」をお子様のために整えてあげる必要があります。
もし「愛情の表現」が難しいと感じる場合でも、ただお子様を「ぎゅっと抱きしめてあげるだけ」でも十分です。
スキンシップを伴う、大人による子供へのアタッチメント(愛着)行動による「お子様への愛情の伝わり方」は科学的にも有用性が証明されており、しっかりとその「愛情」はお子様に伝わります。
大切なお子様の身長をはじめとする成長の遅れ、また心身的な発達にも影響を与えてしまわない様、愛情は十分に与えてあげてください。もし、仮にお母さまが愛情を与える事が難しい場合は、お父さま、また親族、まわりの方々にも助けを求め、お子様の未来のために惜しみないサポートが大切です。