大学で建築を学ぶ。大学院生の時、初めて南極観測隊に参加し、環境保全担当として約1年半活動する。帰国後は国立極地研究所にて、観測隊のサポート業務を行っている。2010年12月に再度南極に向けて出発、現在セールロンダーネ山地調査隊に参加中。
この仕事を選んだきっかけは?
「大学生の時、山岳部に所属していたのですが、日本中の山に登るうちに、南極にも行ってみたいと思うようになりました。」
南極観測隊員の仕事内容は?
「観測隊員は、研究や観測を担当する観測系の隊員と、基地の設備や生活の維持を担当する設営系の隊員で構成されています。 僕は「環境保全」とよばれる設営系の仕事を担当。昭和基地内のゴミ処理や、建物・機材の修理などを主に行っていました。ほかにも、南極内陸部への調査旅行に同行するなど、研究者が行う観測の手伝いもしました。南極では、限られた人数で多くの仕事をこなす必要があるので、自分の専門以外の仕事も皆で協力して行うんです。お医者さんや調理スタッフでも、機材の修理から観測まで何でもこなすんですよ。」
仕事の大変な点と楽しい点は?
昭和基地は、南極の中でも特にオーロラがよく見える場所にあるんです。夜になると、よく仲間と外に出て空を眺めました。
「肉体労働がやはり大変ですね。冬(5~7月) は寒すぎて機材が動かなくなってしまうため、建物の修理などは夏(12~2月)の期間に、休日も返上して集中的に行います。猛吹雪の中での観測や除雪作業も想像以上に過酷ですね。楽しい点は、何といっても「南極にいる」こと! ペンギンやアザラシをはじめ、幻想的なオーロラや満天の星空を眺めることができるし、宇宙から落ちてきた隕石も南極ではたくさん発見される。 日本では経験できないことを日々肌で感じられることは大きな魅力です。あと、仲間との関係もこの仕事ならではの魅力だと思います。朝から晩まで、1年以上もの間一緒に過ごしているので、家族のような強い絆が生まれます。年齢も職業も異なる人たちとの出会いは本当に素晴らしいもの。みんなその道のプロなので、仕事を通して大きな刺激を受けますね。」
休日の過ごし方は?
「6月に、「極夜」という1週間ずっと真っ暗な時期があるんです。この時は外で仕事をすることができないので、隊員みんなで年に1回だけの特別なお祭りをします。餅つきをしたり、グループごとに得意料理を披露したり。僕のグループは焼きそばを作りました。」
どんな人に向いている仕事?
「性格的には、おおらかで、誰とでも仲良くできるタイプの人が向いていると思います。あとは、何か得意な分野があること。観測隊は、研究職をはじめ、調理や医療、建築や通信など、あらゆる分野の専門家の集まりです。南極観測を支えたいという情熱と、何か一つ専門分野があると良いと思います。」
子どもの頃にやっておくべきことは?
「外でたくさん遊ぶことかな。南極では、設備や道具が足りないことがよくあるのですが、そんな時には想像力を働かせて、みんなで試行錯誤しながら道具を作ったりもします。教科書で勉強するだけでなく、自分で考えて行動したり遊んだりする経験は、南極での仕事をする上で、とても役に立つと思います。」