なぜ春は眠たくなるのでしょうか?
本来はぐっすり眠れる季節。眠いのは、季節の 変化に体が追いついていかないからです。
春になると「春眠暁を覚えず」という漢詩の一節をよく耳にします。‐春の夜は気持ちよく眠ってしまい、目が覚めたら太陽は既に昇っていてすっかり明るい朝だった‐と訳され「春は眠いのでつい寝過してしまう」と解釈されることが多いと思います。
実際は、日本人の四季の睡眠時間についての全国調査で、睡眠時間が長くなる季節は「冬」であることが分かっています。冬は寒冷刺激によって筋肉が緊張しやすくなり、皮膚表面の血流量が減り、交感神経系が高揚します。そのため、眠りが浅くなり、睡眠時間が長くなり、寝起きが悪くなりやすくなるのです。
春になると、日照時間が急激に延び、気温も急上昇し過ごしやすい陽気になり、日中の活動量が増えて行きます。日中に体を動かすと生活にメリハリがつき、睡眠環境もよい状態となっていくため、冬と比べて睡眠時間は短くなり、浅い睡眠が減り、深く眠ることができるようになっていくのです。
「春眠暁を覚えず」と感じるようになるのは、春は熟睡が得られやすく、明け方に不必要に目が覚めることが少なくなるためだと思われます。「春はなぜか眠くなる」というよりも「春は朝までぐっすり眠れるようになる」と考えるのが正しいのかもしれません。
もし、本当に、春になってもすっきりと起きられない日が多かったり、日中に眠くなることが多かったりするようであれば、冬~春の変化に体が追いついてない「軽い時差ぼけ状態」になってしまっていることも考えられます。その場合は、規則正しい生活を心がけ、朝にできるだけ日光を浴びるようにし、体内時計を春に合わせていくようにしていただければと思います。