妊娠に欠かせない、基礎体温と高温期のこと
基礎体温は、女性であれば多くの方が耳にしたことのある言葉だと思います。しかし、その測り方や計測値の見方は、実際に測ったことがなければピンとこないかもしれません。今回は、基礎体温のつけ方や見方、その重要性をお伝えします。
基礎体温について
月経周期と排卵のタイミングを確認する際に便利なのが「基礎体温」です。基礎体温とは、体が一番安静にしている状態のときの体温をいいます。本来なら、寝ている間の体温を測るのがベストなのですが、それは自分ではできません。そのため、朝起きた時、動かず布団の中で測るのが一般的です。
基礎体温は継続的に測ることが重要で、毎日の体温の記録をグラフにして、体のリズムを確認します。そこから「月経期」「卵胞期(月経後から排卵前)」「排卵期」「黄体期(月経前)」を読み取ることができます。妊娠を希望すると、すぐに排卵期などを知りたくなりますが、だいたい3カ月ほど続けて記録することで、周期の平均が見えてくると言われています。
◆高温期と低温期
基礎体温には、体温の高い時期と低い時期があります。これをそれぞれ「高温期(=黄体期)」「低温期(=卵胞期)」と呼びます。なぜそのような現象が起こるのでしょうか。
それは、人間が、卵子を作って温める工程を体の中で行うようにできているからです。高温期とは卵子を温める時期のことで、成長した卵を、受精できるように卵巣から子宮へ排出(排卵)し、その直後から温度を上げます。卵が受精したときに備えて、体内で十分に温められるようにしているのです。このようなメカニズムから、妊娠が成立すると、15週ころまで高温期が続くこととなります。
しかし、卵が受精しなければ、温める必要はありません。そこで、子宮内膜という赤ちゃんのベッドの役割をする場所が不要になるので、それを排出する“月経”が起こり、体温を下げて安定させます。これを低温期と呼びます。一般的に、高温期と低温期は半々の14日ずつになります。高温期が長く続くと妊娠している可能性があり、低温期が長いと排卵をしていない可能性があることがわかるのです。
◆基礎体温の測り方
基礎体温は、普通の体温計ではなく、「婦人体温計(基礎体温計)」で測ることをおススメします。婦人体温計では「36.〇〇℃」のように、小数点以下が二桁まで表示されます。体温をグラフにすることと、より体の詳細を知りたいので、なるべく細かく数値化された方が変動は分かりやすくなります。普通の体温計でも測ることができますが、高温期や低温期が分かりづらく、結局は婦人体温計を購入したという話はよく聞きます。せっかく測った日数を無駄にしてしまわないように、最初から婦人体温計で計測すると良いでしょう。
計測は、体温計を舌ベロの下(舌下)に挟んで行います。舌の上に乗せて計測しても、正しい数値がでないので注意してください。また、舌下は不安定で、気を抜くと外れてしまうので、体温計を手で支えるなどして測りましょう。
計測時間は体温計にもよりますが、実測で5〜10分を要するものもあります。「布団の中でそんなに待っていたら二度寝しちゃう」ということもあり、計測自体が億劫になる方も多いようですが、早いものだと10秒程で測れるものもあります。また、寝てしまっても計測ができていれば記録が残るタイプなど、婦人体温計の種類は豊富にあるので、自分にあったものを探してみましょう。
うっかり動いてしまったりしても、測らないよりは測った方が良いです。体温の記録票の備考欄に「起床後」などと記載し、継続することが重要です。理想は、「毎日、同じ時間に、動かず安静に、婦人体温計を舌下に挟んで計測すること」です。
基礎体温の見方
基礎体温は、基本的に高温相と低温相に分かれます。毎日の記録では、体温のグラフが多少ガタガタとして見えても、数カ月後に全体を見るとだいたい2相に分かれています。低温期は月経中を含む排卵前で、排卵するときはさらに少し下がる傾向があります。これを「最低体温日」といいます。
しかしながら、最低体温日が排卵日であるとは確証をもつことができません。最低体温日から数日の間に排卵が起こると言われているので、妊娠するためには、排卵日を含む前後数日間に性交渉をもつことが前提になります。
基礎体温は測り忘れがあったりしても、素人目でも分かるような変動を見せると言われています。もし、体温がバラバラで何も読み取れなかったり、そもそも月経が来ないという人は、妊娠しにくい体質、不妊症の可能性があります。早めに受診し医師に相談しましょう。
【参考資料】 基礎体温計測推進研究会 http://kisotaion.org
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