妊娠9カ月目(32~35週):体の変化や気をつけるべきこと
妊娠9カ月になると、心臓や肺を押し上げるほどまでに子宮が大きくなります。妊娠生活の中で、大きなお腹の大変さをもっとも感じる時期です。赤ちゃんはふっくらして、見た目にも新生児と変わらない状態になります。
【ママの体の変化】
妊娠35週頃に、子宮底がもっとも高くなり、胃だけでなく心臓や肺も圧迫するようになります。お腹の張りも強くなり、頻度も増すため、マイナートラブルが発生します。体の中では出産の準備が始まり、子宮口や膣が柔らかくなってきます。妊娠9カ月では、以下のような症状がでてきます。不快症状が強い、いつもと様子が違うと感じるときは受診しましょう。
後期つわり・動悸・息切れ
子宮は胃・心臓・肺を押し上げるほど大きくなるため、胃もたれや吐き気、動悸や息切れがひどくなります。お腹全体が重く、腰や背中が痛むママもいます。仰向けに寝るのが辛くなるので、体の左(心臓側)を下にして横向きになる“シムスの体位”をとりましょう。
頻尿・尿漏れ
子宮底長は約31cmになり、膀胱も圧迫します。このため、頻尿や尿漏れが発生しやすくなります。
おりものが増える
分娩のため、子宮口や膣が柔らかくなってくるので、おりものが増えます。外陰部に圧迫感を感じることもあります。
お腹が強く張る・頻繁に張る
子宮が収縮することでお腹が張る、頻繁に張る、お腹が硬くなると感じるママが多くなります。疲れたときや夕方に多く、休むと治まるなら心配ありません。定期的に強く張る場合は陣痛の恐れがあるので受診しましょう。
母乳がにじみ出る
乳腺が発達し、乳房が大きくなります。母乳を作るためのプロラクチンというホルモンが分泌されることで、乳頭から乳汁がにじみ出てくる場合もあります。
足がつる(こむらがえり)
お腹を支える足に負担がかかり、ふくらはぎの筋肉がけいれんして足がつる“こむらがえり”が起こりやすくなります。
【お腹の赤ちゃんの様子】
妊娠9カ月になると、赤ちゃんは外に出ても生存できるほど必要な器官、機能が発達しています。この頃になると、子宮内で回転することができないくらいに大きくなり、頭を下にした姿勢をとるようになります。
大きさ
身長(頭殿長):約45cm
頭部:約8.5cm
体重:約2,400g
体の機能
赤ちゃんの神経が成熟し、心拍や呼吸、体温の調節など、体のバランスと働きが整います。ふっくらして肌はピンク色、髪の毛は伸び、爪も指先まで伸びてくるので、見た目は新生児と変わりません。35週頃には、肺や腎臓の器官が完成するので、いつ産まれても問題ない状態になります。赤ちゃんは頭位(頭を下にした姿勢)になります。頭位にならない場合はさかごの可能性があるので、医師に相談しましょう。
【気をつけること】
切迫早産・早産
切迫早産は、妊娠が継続しているものの、子宮口が開いたり、子宮頸管が短くなったりして早産の兆しがあることを言います。早産は、妊娠22週~37週未満の間に、赤ちゃんが未熟な状態でお産が始まることを言います。お腹の張りが規則的に続く、出血がある、破水したかもしれないなど、いつもと違うと感じたときは受診しましょう。切迫早産では安静が一番です。その他、服薬や点滴、入院措置がとられることもあります。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
妊娠後期になると、血管にけいれんのような収縮が起こって、高血圧・タンパク尿・むくみという症状が現れることがあります。悪化すると、早産などのトラブルに発展しますので、定期健診を欠かさないこと、安静とバランスの良い薄味の食事が基本となります。
腰痛と体重管理
体重が増えすぎると、妊娠中毒症や妊娠糖尿病を発症し、お産のときにトラブルが発生しやすくなります。大きなお腹のために姿勢が反り返るので、腰痛も発生しやすくなります。適度な運動とバランスのよい食事で、健康状態を保つよう心がけましょう。
おっぱいの手入れ
母乳の出を良くするために、乳頭や乳輪部のケアを行います。妊娠線を予防するためにオイルやクリームを使ってマッサージします。
ストレス対策
体が思うように動かせない、もうすぐ出産だという不安や心配からストレスに感じることがあります。家族や友人、医師や助産師に話したりして、ストレスをためすぎないように心がけましょう。
【検査と手続き】
健診
妊婦の定期健診は2週間に1回になり、頻度があがります。マイナートラブルも増える時期なので、気になることは医師に相談しましょう。
妊娠9カ月までに里帰り
臨月になると体の負荷が大きくなるので、遅くとも妊娠9カ月までに里帰りをしましょう。
赤ちゃん用品・名前の検討
性別も判明している場合が多く、臨月前に赤ちゃん用品の準備を始めるとよいでしょう。出生後は14日以内に届け出をしなければならないので、名前は事前に検討しておきます。
入院グッズ準備と共有
いつお産が始まっても大丈夫なように、入院グッズはひとまとめに準備しておきます。お産はいつどこで始まるかわからないので、少なくとも病院に付き添う予定の夫などには入院グッズのありかなどを共有しておきましょう。
【参考資料】
「母子健康手帳 副読本」公益財団法人母子衛生研究会、2015年
http://www.mcfh.or.jp/
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