スクスク親子お悩み相談07
このコーナーでは、鈴木先生が心理カウンセラー、スクールカウンセラーの経験から、お母さんや子どもたちの悩みにお答えします。学校でのこと、心配ごとや悩みごとはありませんか?
「学校の話をしなくなってきました。」
まずは「思春期」周辺のお子さんを理解することから。
小学校6年生というと、いわゆる思春期に入る前段階といえますね。思春期というのは、特に男子の場合、その多くが中学1年の夏くらいから急激な変化を見せ始めるものです。男児は早いと5年生くらいから、女児は4年生から口数が少なくなったり、大人を見る眼やその態度がよりシビアになってきたりするものです。お母さんの言うとおり、学校では特に心配な状況がないのだとすれば、年齢と共に出てくるそうした変化によって口数が少なくなってきていると捉えるのが妥当でしょう。
思春期、または思春期間近の学童期の子どもたちは、年齢と共に、ものを見る眼やものの捉え方が大人に近づいていきます。しかし、自分の内面を言語化するとか、言いたいことを言葉にするという点ではまだまだ未熟なため、自己主張をしようとすると、手荒い感じになってしまったり、感情的な態度になってしまったりするのです。まだまだアンバランスさが目立つ時期といえますね。
一般に反抗期と我々大人が捉えている子どもの不機嫌な言動、口ごたえ、大人の矛盾を鋭く指摘してくる・・・などの態度は、実は、大人の不適切な接し方が引き金となっているケースが意外に多いことをご存じでしょうか。子どもの内面にズケズケと土足で踏み込むような対応を、思春期周辺の子どもは一番嫌います。多くの親御さんは、これまでの経験による自分の推測、思い込みなどで子供を見てしまうので、「今、現在」のお子さんにフォーカスが出来ていないようです。逆に、「目の前のお子さん」が何を伝えようとしているのか、この一点にフォーカスした対応をとることが出来れば、お子さんは意外に素直に対話に応じてくれるものです。
このようないわゆる”難しい時期”の子どもへの接し方の基本は、子どもの一言半句を正確に聞くこと。少ない言葉と言葉をつなぎ合わせ、その真意をしっかりと理解し、適切な言葉、落ち着いた態度で応じることです。親子で充実した夏休みを過ごせるといいですね。
心理カウンセラー。東京港区で小学校のスクールカウンセラーを3校歴任。現在は子育ての悩みなどの教育相談、子どものカウンセリング、子育て勉強会・ワークショップなどを実施。高校生と中学生の2児の父親でもある。趣味はキャンプ・ジョギング。
■オフィシャルサイト
http://www.counseling-net.com/